七尺褌

六尺褌と言えば、晒一反木綿を手ずから裁って下ろすもの。
そんな思い込みは晴れて、
インターネットで注文する時代が、だいぶ以前から到来しています。

もとより、東京・浅草寺界隈を歩きますと、
古くからの商店、とりわけ祭用品専門店では、
様々な図柄の反物が揃えてあって、
それが「六尺褌」であることは、知る人ぞ知る常識。
同じ柄の手拭は既に切り揃えられていますから、
褌とその柄、その色を合わせるなど、
それぞれの粋を競う風土が定着しています。

それが今、旧きよき姿はそのままに、
よき時、よき場所で褌が買えるようになったということは、
時代の流れに応じた「よき事」と言えるでしょう。

ただ正直を申し上げれば、
晒の六尺ならば自作のほうがコストパフォーマンスも高いのに、と
少々所帯じみたことも思い巡らします。

さて、締め込みと呼ばれる褌が「六尺」と呼び習わされているにも関わらず、
はじめから六尺の長さに裁たれていないことに、疑問を呈す向きもあるようです。

誤解もまだ多いようですが、この六尺とは、
尺貫法で言う長さ「一尺=約30.30cm」×6=約180cmではありません。
日本では古くから、着物の仕立てについては
「鯨尺(呉服尺)」と呼ばれる特別な単位が用いられており、
鯨尺で言う長さ「一尺=約37.88cm」×6=約227cmが正しい数値となります。

ただし、江戸時代以前に比べて格段に体格の向上した日本人が、
この「鯨尺六尺」で締め込みができるかはまた別問題です。
殊に、捻じり上げて締める場合は布に幾許かの余裕が必要で、
細身の方ならばともかく、実際は余裕を見て「七尺褌=約265cm」程度に
裁つことが多いようです。

「(通称としての)六尺褌」の長さを表す言葉に、
「一尋半(ひとひろはん)」があります。

これは、「両手をざっくりと広げた長さ=一尋=ほぼ身長と同じ」と同じに、
「指先から胸の正中線までの距離=一尋の半分」を足した数値です。

つまり現代風に換算すれば、
例えば身長180cmの男子ならば180cm+90cm=270cm+α。
ほぼ、「七尺褌」であることが解ります。

僅か180cmの褌を、身長180cmの青年が締めることに無理があるわけです。
また体格のよい向きは相応に幾らでも余裕をもってご準備されるのが望ましいと考えます。

万一、六尺という言葉の意味を追求するあまり
このことをご存じない方がおられましたら、
お知らせ申し上げたいと思います。
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