半幅についての私見

六尺とは現代、あくまでも長さを限定する言葉ではないことをお伝えしました。
今日は、布の幅を半分にする「半幅」について、私見を申し述べたいと思います。

インターネット上を回遊しますと、
現代、「半幅」と呼ばれる、文字通り半分に裁った褌が散見されるようになりました。
果たして、この風潮はどこから来たのでしょうか。

越中褌と違い、締め込み型の六尺褌は、単に「陰部を覆い隠す」という目的のみならず、
「下半身の安定を図る」という実効的な役割を担っています。

例えば腰痛でお悩みの方がおられましたら、
ぜひ一度、六尺褌を締めてみては如何でしょうか。
より強く効果を実感できるのは、横ミツを二重三重に回した場合。
下腹部と骨盤の安定が図られ、非常に楽になります。
近頃では、「サラシ巻きダイエット」というものが存在するようですが、
これは六尺褌の延長線上にあるような気がしています。

かたや半幅の場合、布にボリュームが無く、
「締め込んだ」実感が薄いように感じ、
祭礼など他人様の目につく場合には、抵抗を感じます。

もっとも、現代は和装の機会も減っていますから、
純然たる下着として使われる場合には「半幅」が良いのでしょう。
必要以上に存在感のある褌は、追いやられる運命にあるのかも知れません。

天下の奇祭として高名な、岡山県の「西大寺会陽」
ここで売られている下帯(褌)は、幅こそ半幅ですが、
半分に裁たれたものではなく、あくまでも折られたものです。
さらにそれを反物のように巻いたものに、御朱印が押されています。
これが半幅では、さながら包帯のような姿になってしまうでしょう。

「全幅では前ミツがオムツのように見えてしまう」
ネット上ではそんな言葉も目にしました。
しかしあくまでも、これは「締め方」に起因するような気がします。

現代、ボクサーパンツやブリーフが、快適性を求めて立体裁断を追求するのは
体のゆとりを実現するがためで、六尺褌はこれを締め方で補っています。
「ねじる」「からめる」「ひく」「まく」「むすぶ」
一連の動作を経て初めて、一枚の布が上質なウェアに生まれ変わる文化。
前ミツも、緩い逆正三角形よりは、鋭角の際立つ逆二等辺三角形が美しい。
これはまさに「美学」の領域です。

昨今、国内の大手アンダーウェアメーカーからは
「ふんどしネクスト」なる商品もお目見えしているようです。
いずれは、世界に冠たる日本の繊維業メーカーから、
蒸発性や通気性に優れた新素材の六尺褌が誕生するかも知れません。

この記事へのコメント

中年褌男
2013年09月03日 14:00
6尺褌を締めると背中が伸びて自然に姿勢が良くなるメリットがあり、その結果、外を歩く際も歩行スピード無意識に早くなるのを自分でも実感しております。この効果は、残念ながら半幅ではあまり感じられず、(私の経験では)全幅を締めた時のみに顕著に感じられます。これは、丹田(瞑想とか呼吸健康法で意識せよと強調されるポイント)に与える刺激が半幅だと不充分だからだと推測しております。
2013年09月03日 16:35
>中年褌男様

貴重なご意見、ありがとうございます。
何事も柔軟性をもって臨みたいものですが、
「経験則」はなかなか自身覆すことが出来ません。

全幅の効用、まさに「我が意を得たり」と承りました。
遠泳男子
2017年03月29日 18:27
自分は高校の遠泳講習の時半幅の白の六尺褌を締めました。
そのあと水泳部に入って毎年の遠泳講習では助手として黒の六尺褌をやはり半幅で締めていました。
祭りの際とか下着として褌をしめる場合に半幅については色々意見があるだろうと思いますが、遠泳の場合は半幅の方が絶対泳ぎやすいと思います。
遠泳講習は女子の参加者もいたので半幅も全幅も関係なくとにかく褌一丁になるのが恥ずかしいという気持ちがありましたが、講習が始まると毎日厳しい訓練が続いてそんな気持ちは吹き飛んでいました。
半幅だと陰毛の処理が問題になるかと思いますが、最初の遠泳講習の時ははみ出ないように短めにしておくよういわれました。助手として参加するようになってからは全部剃るのが伝統になっていました。遠泳でも和船の操船でも全剃りしていると半幅の褌でハミ毛気にしないで思い切り動き回れました。
母校の半幅褌の遠泳は今も続いているようですが、これからもずっと伝統を守り続けてほしいと思います。
MUSASHI(管理人)
2017年04月16日 21:52
>遠泳男子様

まずはお返事が遅れたことをお詫びします。
ご経験に基づくご例示、大変興味深く拝読しました。

実際に泳ぎの速さや長さを競う場合、
抵抗は最低限であるべきなのでしょう。
これはご指摘の通り、祭礼との大きな違いです。

また祭礼においても、
地域によっては「縦に二つ折り」つまり
「半幅」に畳んでから使うところもあるようです。

ご教示頂いた内容をはじめ、
失われんとする伝統的な六尺褌について
相互に更なる理解を深められれば幸いです。

エチケットとしての体毛処理については
民俗学の立場からの研究が及びにくいように思いますが、
こうした側面からもこの場を「会話」の場として
一層ご活用くださるよう、お願い申し上げます。
じい
2018年07月22日 21:14
半幅にしつらえて売られているものが六尺だと思っている人が多いようですね。
私は自分でかがって28cmくらいにしていますが、そんな寸法はないといわれました。売っている半幅か3分の2しかないと思っているのですね。これが時代ですかね。
MUSASHI(管理人)
2019年01月04日 18:52
>じい様

お返事が大変遅れ失礼致しました。
日本人の体型も大きく変わっておりますので、
それぞれに相応しい尺は異なるかと思います。
お示し頂いた通り、個々にあるべき幅に仕立てるのが
馴染むのかと思います。

しつらえる、かがる、
美しい日本語を久方ぶりに拝見致しました。
言葉を失うように、暮らしの中の文化も
失われゆく昨今です。